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サーキットボードとポリカーボネート [ハンドメイド雑記]

ハンドメイドのウッドクランクを作る際に
リップの素材の選択肢としてはタイトルの通り、
ほとんどの場合、サーキットボードとポリカの2択になると思います。

MBでは割と積極的にポリカも併用しているのですが、
今詰めているDigDawgというクランクにはどちらのver.もあって、
もうちょっとテストしてみようと思ってます。





こちらがサーキットボードリップ。

IMG_1041.JPG




こちらがポリカリップ。

IMG_1039.JPG




この二つの素材を使って同じクランクを完成させた時に
大きく違ってくる点がいくつかあります。


まずはよく言われるピッチの速さ。


これは定説通りに薄いサーキットボードが有利です。
ただ、その速さの差が出るのは低速域が顕著です。
高速域ではどちらもそれなりの速いピッチでアクションします。
厳密に言えば差はあると思いますが、あまり気にならなくなります。
高い水圧を受けて進むパワーをかけて、僅かな抵抗差を打ち消すイメージ。
でも低速域ではその僅かな抵抗が足かせになるのか、明らかな差が出ます。

どちらが良いかということではなく、
そういう差が出るという話です。


ポリカを使って、全域で速いピッチを求めるならば、
そういう設計をする必要があります。
というわけでMBXや今開発中のレギュラーサイズラウンドクランクS58は
ポリカでもレスポンスが落ちにくい設計をしてます。

IMG_1016.JPG



なぜそこまでしてポリカを使うかというと、
それは「違いその2」である耐久性の違いです。


もともとその2モデルはハードカバーに当てるのが前提なので、
削れの耐性を高めたいというのがあって、
角が削れ易いサーキットボードではなく、
削れにくいポリカ採用しているわけです。


さらにその延長での話で「違いその3」です。
それはアタリの柔らかさ。
薄いサーキットボードは引っかかり易いのです。
それは根掛かるということではなくて、
硬いカバーにタッチした際に薄いが故にリップが引っかかり易いという意味。
例えばテトラなんかが顕著でしょうか。

細かい凹凸があるものとか逆に腐って少し食い込み易いものとか
薄いが故にそうしたものに弱い側面があります。
逆に厚みがあるポリカはそれが緩和されます。
単純に抵抗となっていた「厚み」がここで活きます。

でもそれが緩和されるということは
感度が低下するということになります。
タッチ感を曖昧にしていくということですから。
よって、ボトムタッチ時の感度を優先するコンセプトの場合は
サーキットボードが有効です。


そんな違いをそれぞれのモデルにどう活かしていくか…
と考えた場合、ワイドウォブルのモデルにはポリカがマッチしてきます。
さらにワイドウォブルにする理由はカバー回避能力の向上であり、
カバーにタッチした際に高い浮力を使って軽快にかわすようなモデルならば、
相乗効果でタッチ感の柔らかい
「そこにリップラップなんか無いような巻き感」(例えばの話)
が得られたりします。

というわけで、MBのラウンドカバークランクはポリカを使っています。
ちなみに同じようにラウンドの大きなボディーを持ち、
深く潜る必要があるディープクランクも削れ耐性の強さもあり、
ポリカを使っています。
リザーバーの岩盤に当てたりということも多いので、
感度よりも耐久性とアタリのやわらかさを優先しているわけです。


ではサーキットボードを使う理由は何かというと、
単純にレスポンスのアップです。ピッチの速さも同時に求めます。
元々のアクションのパワーが小さい設計になりがちな
フラットサイドクランクにはサーキットボードは相性が良いです。
そして、カバーにガンガン当てる使い方というよりは、
かすめるとか、ライトなカバーと通すとか、
中層のアクションも活かすような使い方をすることが多いのが
フラットサイドクランク。

Leaferやmitoにサーキットボードが採用されている理由はそれです。

IMG_9091.JPG




という長〜い前置きがあって、DigDawgです。


DigDawg(ディグダグ)はフラットサイドですが、
ワイドウォブルなクランクです。
そしてカバークランクでもあります。
ラウンドカバークランクとフラットサイドクランクの
両方のDNAを持っているタイプ。

だから悩ましいのです…。



低速域のレスポンスは明らかにサーキットボードが上ですが、
例えばノーマンのDTN的にボトムを引きずるような使い方をする際には
ポリカも捨てがたい。硬いボトムならポリカもあり…。


でも桧原湖のパラパラしたウィードエリアを引き切るには
それを振りほどくような速くて力強いアクションが欲しいのと、
固定されたカバーにタッチした際には
どうしてもフラットサイドのウィークポイントである姿勢復帰の遅れが生じます。
それを考えるとスローなカバークランキングしかできないのであれば、
低速域のレスポンスを優先した方が良いのでは?
となり、総合的にはサーキットボードか?


というのが今の私の思いです。



あ、DigDawgの設計コンセプトですが、書いた通り、
「パラパラしたライトなウィードエリアで引き切れるクランクであり、
やわらかいボトムでもリップが突き刺さらない、
ボトムを滑らかにトレースできるホジクリ犬(名前の由来)であり、
フィネスカバークランクでもある小粒なフラットサイドクランク」
です。



クランクベイトの設計のひとつひとつには
明確な理由があるのです(^^)




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コメント 3

tei-g

サーキットボードはハサミでも切れて加工のしやすさは有りがたいのですが、私のような素人が切ると端がガタガタになってしまいます。皆さんのように綺麗に仕上げるコツはなんでしょうか?
by tei-g (2016-02-23 18:47) 

DEN

ちょっとしたことで、大きな違いがでるのが、クランクベイトのおもしろいところですね。

自分もクランクベイトを自作してますが、基本的にサーキットボードでリップを作ってます。

いろいろ理由があるのですが、一番は、リップの整形がしやすいからです(笑)

でも、ポリカのリップにはポリカならではの良さがあるので、悩ましいですね・・・
by DEN (2016-02-23 22:19) 

tisa

>tei-gさん
カット面の仕上げは確かに面倒ですよね。基本的には手間を掛けるしかないのですが、まずハサミは金切り鋏が使い易いです。
予め型紙などを元にけがいたラインの0.5mm外側をカットします。ハサミでのカットはどうしてもカット部分が白く潰れてしまいがちなので、ある程度余裕を持って切ります。次にヤスリでけがいたラインまで削ります。このラインは実際の型紙よりも少し大きいはずです。その大きい分を荒めのペーパー、#300前後で良いと思いますが、求めるサイズ、形になるまで削っていきます。最後に少し細かい目のペーパーを当ててあげれば完璧です!DigDawg他MBのリップは逆Rが多いので正直手間は掛かります(^^;)

>DENさん
加工のしやすさはハンドメイドにはとっても重要ですね!でもポリカもハサミで切れますし、手間はほとんど変わりません。
バルサクランクはレスポンスやキレを重視したくなるような素材なので、サーキットボードを使うことが多くなるのはしょうがないですね。
そうそう、リップスロットを切るのは薄いサーキットボードの方が断然ラクです(笑)


by tisa (2016-02-26 14:48) 

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